追熟した梅。
台所の窓辺に置いて毎日コロコロ転がす。日に日に芳醇になってくる香りで頃合いを今だ!と見計う。そうしたら酸っぱいけどそのままでも食べれる梅になる。スモモみたいな梅。
皮は黄色で均等に色づいていて、それを指先で軽くスーッと剥がす。上手に剥がす。多分これも重要な気がする。集中すればするほど、もう口の中もほっぺたの奥も胸の奥底からも生唾が込み上げてくる。
皮が綺麗に剥がれた実は種に残らないようにナイフでまた綺麗に刮ぎ取って、時々つまみ喰いもしながら、少しだけ加えさせてくださいと言わんばかりのきび糖にまぶして、そして私はバニラアイスと一緒に食べる。美味しい。
ますますスモモのような、だけど梅となる。今年は今までで一番美味しくできた。
料理を生業にしている身として、料理という言葉を日々使うことをおこがましく感じてしまう瞬間が、一番この世界に没頭していきたいと思う瞬間でもあったりする。
知らない美味しいにもっともっと出会いたいと強く思う今日この頃。